Cio Do'r

mushic(ムシック)などと、一丁前にアーティストネームを名乗って活動しているわけですが、最近この名前に関して、あることを知ってしまったのです。

 

先日、来日するドイツ人アーティストのアテンドをすることになったので、付け焼き刃なれど、簡単なドイツ語くらい勉強しておくかと思ったときのこと。「ドイツで言ってはいけない日本語」というページがあって、その中に「ムシ」という文字が!

曰く、Muschi(ムシ)はドイツ語で女性器という意味だそうで、日本人が電話で「もしもし」なんて言うと、怪訝な顔をされることもあるとか。

muschi

mushic

muschi

mushic

ただでさえ、普段から、口で「ムシックです」と名乗るのは恥ずかしく思っているので、現場でお会いする初対面の方にも本名を名乗ることが多いのに、字面と発音の似ている卑猥な意味の言葉。
なんかもう。

これが、普通のドイツ人観光客ならいいんです。当然本名を言うわけなので。
ただ、今回アテンドするのはドイツ人のアーティスト。アテンドするのにかこつけて、あわよくば、と考えているわけです。デモCDまで持ってきちゃって。

今回ばかりはムシックと名乗らずにはいられない。それならば、細心の注意を払って発音するしかない。「ック」を強調。決して「ムシ」と聞こえさせてはならない。練習してみると、「ック」の瞬間に首が前に出ちゃう。鳥のように。
虫なのに。

 

アテンドする相手とは、世界で活躍する Cio Do'r(キオドア)。

www.youtube.com


台湾・韓国・日本を回るアジアツアーの最終日に、オープンして2ヶ月の静岡市COA.に来るということで、オーナーのユウイチさんの粋な計らいにより、一日アテンドするチャンスが舞い込み、二つ返事で了承。

 

13時過ぎ、静岡駅新幹線改札の前に立つと、いよいよソワソワ。色んな意味で。
ユウイチさんと挨拶のリハーサルをしながら待っていると、改札の向こうにキオドアが!!!

写真通りの髪型、出で立ち。還暦とは思えぬプロポーション。足長っ。

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ドイツの草間彌生、もしくはコシノジュンコ

 

改札から出てくると、あら、笑顔が素敵。
その外見から、勝手に我儘、理不尽、愛想無しみたいなイメージを持っていたのを申し訳なく思った。のも束の間、笑顔で発する第一声はvery tired。そんなに疲れているの?と聞くとsuper tiredと言い出した。
脳内意訳で「超ダルいんだけど~」

 

ただでさえアテンドなんて慣れてないのに、初対面のドイツ人、大物、初老が、超ダルいんだけど~とおっしゃっている。
よりによって、このタイミングで「僕はmushicです」と言わなければならない。だって自己紹介は挨拶の基本。万国共通。
一瞬で変な汗が出てくるけど、勇気を振り絞って、

ア、アイム ムシック

 

ムシック

 

エス! ナイストゥーミーチュー、ハーマジェスティー。

 

ナイストゥーミーチュートゥー、ムシック

 

緊張のあまり口を突いて出てきた、まさかの「会えて光栄です、女王陛下」。女王陛下は苦笑い。

 

聞き返されたときは、うわーやっべっと思ったけど、キオがムシックと正確に発音してくれたので、この日の仕事はあらかた終わったなと安心した。

だがしかし、この日、女王陛下が僕のことをムシックと呼ぶのはこれが最初で最後であった。

 

super tiredとは言いながらも、駅ナカの天ぷら屋さんを見かけては大声で「テンプーラ」と言い出したり、バッグの中に大量に入っているという大好物の枝豆の話をしてくれたり、あれ?テンション上がってる?というか、いい人?
今まで来たことのない静岡で、COAのサウンドシステムが良いと聞いているらしく、プレイが楽しみだと、ドイツ訛りの聞き取りやすい英語でペラペラ喋ってくれる。

間違いない、いい人だ。女王様ではなく、女王陛下だ。

 

 

ホテルのチェックインを済ませ、早速COAに移動しサウンドチェック。
店内には既に出演者・スタッフがいて、キオが入ると「おーキオドアだよ、本物だよ」みたいな雰囲気。キオも確実にテンション上がってる。
この日のためにCOAが用意したAUDIO 8があると知ると、クレイジーと言いながら嬉しそう。バッチリと調整されたファンクションワンのサウンドを一聴すると、もう少女のような笑顔でエクセレントとの言葉!

ハードなスケジュールを考えると、確かに疲れるのも無理は無いので、ホテルで一休みして、18時半出勤。

 

19時にスタートした少々機械音痴な女王陛下は、ミキサーのボタン類は全く操作できないようで、途中で何度か「エチョー切りたいんだけど・・・」と仰る。
「いや、エフェクトは全部切ってあるよ」と言っても「このエチョーがいやなのよ!」と押し問答。
曲を繋いで次の曲になると「あ、トラックにかかってたやつだった、ごめん」と。

 

何かあったらすぐに対応できるように、ブース脇でずっと控えてたけど、中盤からは出番も無く、大団円のうちに幕を閉じてホッとしました。
音は図太く、ありきたりな表現ですが、ダークでヒプノティック。


クラウドをロックし続けて、最後の最後にかけたのは日本語で「広島」「長崎」の言葉が入ったトラック。
その単語の羅列は当然あれを想起させ、このトラックをかけた意味を考え、至福の2時間だけでなく、キオの人間性まで礼賛するような拍手の嵐だったのですが、その後打ち上げで「google翻訳だと、全然別の意味だった、そういう曲だとは知らなかった」と判明する。。
別に、意味を知らないでかけたからといって、あのトラックをかけたことが意味を無くす訳ではないし、裏話をわざわざ書くこともないのかもしれないけど、偶然がもたらしたちょっとした笑い話として。

 

打ち上げで「サーモンの寿司が食べたい」と言いだしたけど、日曜の夜に開いてる寿司屋ってのも無いぞと言い聞かせても聞かなくて、入った居酒屋で富士宮が誇る虹鱒(美味い鱒はすごく美味いのです)があったから「鱒はほぼサーモンだから」と言っても納得せずにいたのに、白飯に醤油と胡椒かけて、トマトをおかずにどんぶりを平らげたら、もうサーモンはいらない模様。
CONTACTスタッフの「機嫌が良いときはかわいいんだけどね・・・」という一言に納得した一日でした。

 

打ち上げのときに僕が言った「畑があって、農業をやってる」という一言に食い付いて、ホテルへ送る道中もずっと「家からどれくらい?」「他に何を作ってるの?」と質問攻めで、農業の話が一番盛り上がったうえ、"agricultural techno"という謎のタグ付けをされたのがハイライトだったキオドアのアテンドでした。。。